チョウザメの減少を補うことに期待がかかる=Getty Images/Fotobank
日本に輸出する「ロシア・キャビア・ハウス」の経営者、アレクサンドル・ノビコフ氏は、ロシアNOWにこう意気込みを語った。「日本人は海産物の本当の通で、キャビアの選択にも特別のこだわりを持っています。でも、うちの製品の質は彼らを満足させることができました。だから、数あるロシアの生産者の中でうちが選ばれたわけです」。
養殖キャビアだけ
現在、ロシアでは、養魚場で採れるキャビアの販売しか正式に許可されていない。そうした養魚場の数は増えており、現在、国内では3つの養魚場がフル操業し、近年中にはその数は8ないし9になる。
養殖キャビアをロシアから持ち出せる量は、一定量に制限されている。連邦税関局の資料によれば1人当たり250グラムまでだ 。税関では経済発展省および海産物の取引を管理している政府の許可証を含む一括文書を提出する必要があり、そうした文書は合法的な販売業者のもとにのみある。この他、2010年10月からは養魚場のチョウザメから採れたキャビアを空港の免税店において無許可で購入できるようになった。ノビコフ氏によると、許容量以上のキャビアの購入を誰も禁止できないため、税関は長い間それに反対していたという。
ひたすら減り続ける天然チョウザメ
チョウザメの捕獲は1957年から正式に禁止され、1983年からは研究目的でおよそ50トンのみの捕獲が許可されている。調査用の魚と魚卵は販売に回されていたが、2008年以降、研究後はすべて廃棄処分されるようになった。
こうした厳しい措置は、かつて世界市場におけるキャビアの主要な供給源であったカスピ海およびアゾフ海でのチョウザメの密漁を取り締まるためのもの。ソ連邦崩壊後、キャビア採取部門は、旧ソ連諸国の密漁者で溢れかえり、その結果、WWF「世界自然保護基金」 ロシアの資料によれば、チョウザメの個体群は1980年代末から2010年にかけて40分の1に減少して絶滅の危機に瀕している。あらゆる禁止措置にもかかわらず、年間およそ1000トンのチョウザメが密漁によりアムール河から消失しているのだ。
地元当局はそれを住民の失業に起因するものとしているが、WWF ロシアのアレクセイ・バイスマン氏は、地元当局がまさにそれによって利益を得ている点を指摘している。投資会社『アレマール』のアナリスト、ロマン・アンドレーエフ氏がRNに語ったところでは、法保護機関の職員、役人、卸売業者へのあらゆる賄賂を考慮してもカスピ海産キャビアの1キロ当たりの採取コストは50ドルを超えないが、市場やレストランでは1500から3000ドルの価格となっている。極東では密漁のキャビアが地元の工場によって公然と出荷されている。
アンドレーエフ氏によると、数年前、ロシアにおけるキャビアの公式の年間採取量はおよそ15トンだったが、実際には300トン近く販売されており、不法収入の額は10億ドルに上っていた。
一方、養殖キャビアの占める割合はというと、ほとんど無きに等しい。2009年には、およそ2,6トンで、養殖が「成功」した現在でも6~7トンにすぎない。キャビア輸出解禁は、天然チョウザメの減少に拍車をかけることになりかねないのではないか。日本に入ってくるキャビアのうちどのくらいが養殖ものなのだろうか。
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