BRICsファンド閉鎖の意味とは

ロイター通信
 アメリカの投資銀行「ゴールドマン・サックス(GS)」は、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の新興4ヶ国に特化したファンドを閉鎖した。専門家の説明によると、新興4ヶ国は年々、投資家にとって魅力的ではなくなってきている上、この統合が政治連盟に変わってしまった。その結果、ファンドの需要が落ち込んだのだという。

 BRICsファンドの閉鎖を、ロシアの経済紙「RBCデイリー」はアメリカの関係筋の情報として伝えている。アメリカ系金融情報通信社「ブルームバーグ」によると、BRICsファンドの資源は新興国株式ファンド(Emerging Markets Equity Fund)に移されるという。BRICsファンドの運用資産額は9月、9800万ドル(約117億6000万円)まで減少した。2010年の最盛期には8億4200万ドル(約1010億4000万円)に達していた。BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)合同体は、このファンドをきっかけに生まれている。

 

主な原因

 ロシアの投資会社「UFS」のアナリスト、ピョートル・ダシケヴィチ氏によると、新興国への関心は近年、中国経済の減速、対ロシア経済制裁、資源価格の下落などにより、薄れたという。

 例えば、今年初めからMSCIエマージング・マーケット指数が12%下がった一方で、S&P500指数は1%、EUROSTOXX 600指数は約10%上がっていると、ロシアの投資会社「ルス・インヴェスト」分析部のドミトリー・ベデンコフ部長は説明する。

 「BRICsファンドのコンセプト自体がここ数年、投資家の目にはやや時勢遅れに映っていた」とダシケヴィチ氏。異なる国の資産を一つのファンドに集約することは、現状において不可解に見えるようになってきたのだという。

 昨年の資源安は、新興市場の経済の潜在性と投資の魅力性を下げた。BRICs市場に特化するファンドの資金は、アメリカ、中国、欧州連合(EU)にそのまま流入したと、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏は説明する。この動きは、少なくとも、輸出される天然資源の価格が再び上昇を始めるまで続くのではないかという。

 さらに、ロシアの投資分析会社「インヴェストカフェ」のアナリスト、ボグダン・ズヴァリチ氏によると、アメリカの金融政策が新興国経済へのもう一つの大きな打撃になり得るという。世界市場の投資家は、連邦準備制度理事会(FRB)が12月に利上げに踏み切る可能性で運用を続けている。

 

BRICsの発祥

 BRICsという用語は2001年、当時ゴールドマン・サックスのチーフ・エコノミストだったジム・オニール氏が考案した。新興大国のグループが世界の成長により影響をおよぼすようになっているとの評価だった。ゴールドマン・サックスは2003年に公表した予測の中で、2050年までにBRICsの経済がドル換算で経済の主要先進6ヶ国を超えると記していた。また、世界経済の主な原動力になるのはBRICs諸国であると、オニール氏は考えていた。この後の2004年、ゴールドマン・サックスはBRICsファンドを始めた。

 株式市場の指標に含まれたBRICsはその後、政治的な合同体を結成し、2010年に南アフリカが加わった。BRICsは株式市場の抽象面から政治面へと移行したと、ダシケヴィチ氏。このような合同体の創設の提唱者はウラジーミル・プーチン大統領だった。2006年、BRICs閣僚級会合の実施を提案した。2009年6月には首脳会議も行われた。

 BRICSの経済的な相互依存関係はさほど著しくない。例えば、ロシアと他のBRICSとの貿易額は1050億ドル(約12兆6000億円)。これは2008年と比べると50%増である。一方で、中国と他のBRISとの昨年の貿易額は3120億ドル(約37兆4400億円)。中国とアメリカ一国の昨年の貿易額は5920億ドル(約71兆0400億円)である。