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4月3日、サンクトペテルブルグの地下鉄で起きた爆発事件は、公式の統計では10人の犠牲者を出し、ロシア連邦捜査委員会は、公式にテロと断定した。
プーチン大統領によれば、今のところは「あらゆる説が検討されている」が、事件後、事実上すぐにテロ説が主要なものとなった。テロの数時間後には、マスコミ報道に、地下鉄の車両に爆弾の入ったリュックサックを置いたと推測される人物の写真が現れた。これはあごひげを生やした男性で、黒っぽい服を着ていた。ロシアのテレビ局「REN」の情報によれば、この男は冷静に地下鉄を立ち去り、その後の足取りは不明だという。
「これは途方もないテロで、その組織者と実行犯を突き止め、最も厳しく罰するべきだ」。チェチェン共和国のラムザン・カディロフ大統領は、インスタグラムにこう書き込み、その際に、プーチン大統領がテロの可能性に言及している、その発言の写真を添付した。カディロフ大統領は、テロの組織者を「犯罪者」と呼び、彼らに対する対応は、「単に厳しいというのではなく、残酷でさえあるべきだ」、なぜなら、いくら教え諭しても、彼らの考えを変えることは不可能だからだと述べた。
しかし、他のロシアの政治家たちの発言はより慎重で、事件による死傷者の近親者へ同情の念を表すに止まった。「これは我々の悲しみ」だと、ドミトリー・メドベージェフ首相はフェイスブックに書いた。サンクトペテルブルクのゲオルギー・ポルタフチェンコ知事は、事件を「恐るべき悲劇」と呼び、全市民に対してより警戒感をもち、慎重であるように呼びかけた。
一方、ロシア連邦観光局は、サンクトペテルブルクの観光客に対し、平静を保つよう呼びかけた。現時点での手元の情報によれば、テロの死傷者のなかに旅行者はいないという。
今回のテロ(と推測される事件)に対する国際社会の反応は、かなり典型的なもので、何らかの都市で大規模なテロが起きた場合には常に生じるような反応だった。政治家および公職にある人々は、哀悼の念とロシアへの連帯を表明した。
例えば、「サンクトペテルブルクの爆発事件のニュースを聞き、恐怖を感じている」。イギリスのボリス・ジョンソン外相は、ツィッターにこう書いた。「犠牲者とその遺族に同情する」
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、爆破事件を非難し、この恐るべき行為をなした者はその責めを負わねばならない」と述べた。
同情を寄せる外国人の一部は、自分の思いをロシア語で表した。例えば、在ロシア・アメリカ大使館は、ロシア語で哀悼の意を表し、アップル社のティム・クック最高経営責任者(CEO)は、「サンクトペテルブルクの悲劇に見舞われたすべての人に対し、心から哀悼の念を表す」と書き、ロシア国旗の絵文字を付け加えた。
交通の大混乱
公職にある人々がペテルブルク市民に同情の念を表している間、彼らは爆発事件の影響と苦闘せねばならなかった。地下鉄のすべての駅が閉鎖されたので、同市は極度の交通渋滞に陥ったからだ。そこで市当局は、地上の公共交通機関を無料とし、市のタクシー業者も、市民の便宜を図り、市中心部からの走行は無料にした。
いずれにせよ、車は全員には足らなかったので、空席があるドライバーたちはハッシュタグ「#帰宅」を付けて、歩行者たちを拾った。あるいはまた、希望者が相乗りできる場所を示した一覧表をインターネットに載せた。「こんな時はお互いに近くにいる方がいい」と、そこには書かれてあった。
もっとも、値段思い切り上げたドライバーも多少はいたが、心から助け合おうとした人のほうがずっと多かった。「人々は自分が人間であることを思い出した」と市民はソーシャルネットワークに記した。
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サンクトペテルブルクでは、3日間の服喪が発表された。哀悼の印に、同市では、花束が地下鉄の技術大学駅の駅舎に供えられた。一方、モスクワ市民は、大祖国戦争(独ソ戦)の英雄都市の並木道で、「英雄都市レニングラード」の台座に献花した。
献花した一人は、タス通信にこう説明した。(872日間にわたってナチス・ドイツ軍の封鎖から持ちこたえた)英雄都市レニングラードを記念する、この石碑は、自分の意見では、同市への連帯を表すのに最もふさわしい場所である、と。
この日は、モスクワのサッカークラブ「スパルタク」のファンでさえも、連帯を表明した。彼らはふだんは、“不倶戴天の敵”サンクトペテルブルクにいい感じをもっていないのだが。対オレンブルグ戦で彼らは、こんなバナーを掲げた。「悲しみは限りない。心臓が粉々に砕けそうだ。サンクトペテルブルグよ、我々も悲しむ」
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