吉野彰氏ら「グローバル・エネルギー」賞を授賞

タス通信撮影

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日本人化学者の吉野彰氏と、ロシア科学アカデミー総裁に選ばれたアカデミー会員のウラジーミル・フォルトフ氏とは、2013年度の「グローバル・エネルギー」賞を受賞した。授賞式は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの枠内で行われた。

 露国営石油大手ロスネフチ社のイーゴリ・セーチン社長は、受賞者に賞を授与しつつ、「同賞は創設以来11年間で真に国際的なプロジェクトになった」とのプーチン大統領の祝辞を読み上げた。

 

国際賞「グローバル・エネルギー」

国際賞「グローバル・エネルギー」は、2003年から、ロシアにおいて、エネルギー経済分野における優れた学術研究および科学技術開発に対して授与されており、これまでに、ノーベル賞受賞者のジョレス・アルフョーロフ氏、アカデミー会員のゲンナジー・メーシャツ氏、オレグ・ファヴォルスキー氏、フィリップ・ルートベルグ氏といったロシアの著名な学者のほか、アメリカ、ドイツ、日本、カナダ、イギリス、アイスランドなどの外国の研究者も受賞している。
 同賞は、「ガスプロム、「スルグトネフチガス」、「連邦電力網会社・統一エネルギーシステム」というロシアの大手エネルギー企業の支援のもと、非営利パートナーシップ「グローバル・エネルギー」によってロシアに創設された。賞金の総額は、2012年と同様、3300万ルーブル(約9900万円)。

吉野彰氏はリチウムイオン電池の研究開発で

  吉野彰氏(65)は、情報通信端末や電気およびハイブリッド車用のリチウムイオン電池の研究および開発が評価されて同賞を受賞した。

  日本の大手化学メーカー「旭化成」は、自社が誇る吉野彰フェローの2013年度「グローバル・エネルギー」賞受賞に沸いた。

 同社の藤原健嗣代表取締役社長は、タス通信に対しこう語った。

 「弊社の社員が世界的にきわめて権威ある『グローバル・エネルギー』賞を受賞したことは、わが社にとって大きな栄誉となりました。これは、吉野氏本人そして氏と研究を共にする人たちへの名誉ある褒章であり、彼らの熱意と努力に対するこのうえなく高い評価であります。私たち旭化成グループは、今後も、こうした賞に与れるような科学的成果を生みだし、『世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献します』という弊社の理念を実現していきたいと考えています」。吉野氏は、社内で研究室長を務めている。

 

紫綬褒章など数々の受賞 

 同氏は、これまでにも数々の賞を授与されているが、最初の賞は、1999年にやはりリチウムイオン電池の開発に対して日本化学会から贈られた化学技術賞だった。2001年4月には、そうした装置の開発および商品化の面での業績に対して市村産業賞功績賞が授与された。2004年4月には、学術や芸術の分野の功労者を対象とした紫綬褒章が授与された。2012年6月には、米国電気電子学会(IEEE)の環境保護と安全技術への貢献に対するメダルを贈られている。

 受賞後ロシア科学アカデミー総裁に選ばれたウラジーミル・フォルトフ氏

  受賞者のウラジーミル・フォルトフ氏は、「わが国のエネルギー界の第一人者からこの賞をいただけることは、私にとってこのうえない栄誉です」と語った。 

  今年度の同賞の受賞者は、4月半ばに発表された。高温統合研究所(IVTAN)所長であるアカデミー会員のフォルトフ氏は、インパルス発生器、高精度電流制限器、高圧送電線雷撃模擬器、高効率エネルギー変換器の基礎となる強力衝撃エネルギー装置の開発が評価されて賞を授与された。授賞に関する発表後の5月、フォルトフ氏は、ロシア科学アカデミー総裁に選ばれた。

 

*以下の資料を参照。

ロシア通信 

タス通信 

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