ナバリヌイ氏に再び有罪判決

 反体制派の政治家で「反汚職基金」の理事を務めるアレクセイ・ナバリヌイ氏が横領罪で懲役5年を言い渡された。ナバリヌイ氏は以前、2018年の大統領選に出馬する意向を明らかにしていた。法律では、重大な犯罪で有罪判決を受けた者は、出馬権を持てない。ナバリヌイ氏は政治的理由で裁判が行われたと考えており、有罪判決が出馬を止めることはないと話している。
Alexei Navalny
アレクセイ・ナバリヌイ氏(左側)、キーロフ市レーニン地区裁判所=  アレクセイ・クデンコ/ロシア通信

 キーロフ市レーニン地区裁判所(キーロフはモスクワの北東791キロ)は、アレクセイ・ナバリヌイ氏に公金私消の罪で有罪判決を下し、懲役5年を言い渡した。これはナバリヌイ氏の同じ横領罪の2度目の有罪判決である。前回は2013年7月18日で、同じように懲役5年を言い渡されていた。

 その後執行猶予を与えられ、欧州人権裁判所は昨年、ロシアの裁判所がナバリヌイ氏(および共同被告人である「ヴャトカ林業会社」の元最高責任者ピョートル・オフツェロフ氏)の公正審理権を侵害したとの判決を下した。ロシア最高裁判所は昨年11月16日、ナバリヌイ氏およびオフツェロフ氏の裁判のやりなおしを命じた。

 

新たな裁判

 新たな裁判は前回の裁判とあまり変わらない。裁判所も同じ、検察官も同じ、双方の主張も同じである。検察官によれば、2009年、ナバリヌイ氏(当時はキーロフ州知事補佐だった)とオフツェロフ氏は、国営企業「キーロフレス」から木材を意図的に低価格で購入し、市場価格で販売した。これによってキーロフレスに損害を与えた。2013年も今年も、裁判所は被害額を1600万ルーブル(約3040万円)と試算している。

 弁護側は、ナバリヌイ氏もオフツェロフ氏も木材を正当に購入、販売しており、その行動に犯罪はないと考えている。ナバリヌイ氏は何度も、この裁判を政治的だと考えていると言ってきた。ロシア政府が2018年の大統領選への自身の出馬を阻止しようとしているという。大統領選出馬の意向を表明したのは昨年12月13日。

 今回刑法典の重罪(160条「横領」)の有罪判決を受けたため、出馬する権利を失った。ナバリヌイ氏の弁護士オリガ・ミハイロワ氏がこれを伝えた。ナバリヌイ氏は上訴すると話している。

 

普通の刑事事件か政治か

 ナバリヌイ氏は裁判前の3日、裁判を「もう一度丁寧に警告してあげよう。政治活動に参加してはいけないのだよ」というロシア政府からの「メッセージ」ととらえていると言っていた。「ありがとう、だがそうはならない」とナバリヌイ氏は話し、何があっても選挙運動を続ける意思を示した。

 ドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、ナバリヌイ氏の話を否定し、クレムリン(大統領府)は「キーロフレス」問題を「特に観察していない」し、大統領選について話すのは時期尚早と述べた。また、「合法的な訴訟手続が行われている」と、裁判について控えめにコメントした。

 

ナバリヌイ氏はあきらめない

 法的には2018年の大統領選の出馬の可能性は事実上閉ざされたが(上訴が通らなければ)、ナバリヌイ氏の仲間は、法律ではなく、政府が出馬させたいかどうかにかかっていると考えている。支援者レオニード・ヴォルコフ氏は、交流サイト(SNS)「フェイスブック」の自身のページで、法的な回避策を示している。欧州人権裁判所は今回の判決にも異議を唱えることができ、ロシアの憲法裁判所または下院(国家会議)は有罪判決を受けたナバリヌイ氏が出馬できるように法律を変えることができるという。「我々の政治運動を通じてこのような解決策を実現させなければ」とヴォルコフ氏。

 「ナバリヌイ氏の出馬に関する最終的な決定(政府内の)は行われていないと考える」と、政治オブザーバーのスタニスラフ・クチェル氏はラジオ局「コメルサントFM」で話した。ナバリヌイ氏を政治に出馬させることは政府にとって一定のプラスがあるという。強い反体制派の候補者が、現大統領ウラジーミル・プーチン氏の予想される勝利を勢いづかせる可能性があるためだ。

 一方で、ナバリヌイ氏の出馬はクレムリンにとって大きなリスクであると、政治学者である「政治工学センター」のアレクセイ・マカルキン副所長は話す。「ナバリヌイ氏が出馬すれば、支持する人と反対する人の両方が投票に行くから投票率があがるが、演説の場に立ち、国営テレビに出演するようになれば、人気が上昇する大きなリスクがある」とマカルキン副所長。ナバリヌイ氏は、プーチン氏に勝てそうにないが、大統領選に参加することで、政治家としての人気、有権者の支持がさらに増すことになり、それは政府には必要のないことだという。

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