ISをモスクワとサンクトで拘束

 ロシア連邦保安庁(FSB)は12日、中央アジア出身者10人をモスクワとサンクトペテルブルクで拘束した。治安当局に近い専門家は、ロシアで禁止されている過激派組織「イスラム国(IS)」に勧誘された犯罪者が、ロシアの大都市で爆弾と銃撃のテロを起こそうとしていたと考える。
terrorist attacks
 ロシア通信

「お前の兄弟はどこにいるんだ?」

「シリアにいる」

「シリアで何をしているんだ?」

「ジハード(聖戦)」

 中央アジア系の男がこのように答えている様子を撮影した動画を、FSBは公開した。映っている男は、タジキスタン国籍を持つアブドゥホレブ・ミルゾエフ。モスクワでテロを起こそうとしていたと話す。

 

タクシー運転手や販売員のジハード

 ミルゾエフと戦闘員と思われる他の2人はモスクワで、その仲間7人はサンクトペテルブルクで、拘束された。FSBの情報によると、(タジキスタン、ウズベキスタン、キルギス国籍の)容疑者の元から、カラシニコフ自動小銃と威力の強い即席爆発装置(手製爆弾)4個が見つかった。サンクトペテルブルクで拘束された容疑者は、タクシー運転手および警備員、モスクワで拘束された容疑者は、建設資材市場の販売員だった。

 「ロシスカヤ・ガゼタ(ロシア新聞)」は、治安当局の関係筋の話として、テロリストが昨年11月13日にパリで発生したテロ攻撃のシナリオにそっくりの、同時に人の多い場所で複数の爆弾を爆発させ、通りの人を銃撃するテロを起こそうとしていた、と伝えている。

 ロシアの「コメルサント」紙は、拘束された者全員に犯罪歴があったとの情報を伝えている。それぞれの母国で警察が探していたが、イスラム過激派と関係があったからではなく、通常の犯罪の容疑であった。

 

シリアとの関係

 とはいえ、FSBによると、容疑者はIS幹部と接触し、ISの名でテロを起こそうとしていたと話したという。この事件でロシアの治安当局と協力している「キルギス国家安全保障委員会」は、容疑者らが自主的にISの戦闘員養成所で訓練を受けていたと発表した。

 退役FSB少将で、国際テロ対策局の元局長であるユーリ・サプノフ氏は、容疑者がロシア国内で勧誘されたのではないかと考える。「ヨーロッパや世界中でそうであるように、勧誘者が活動した結果である可能性が高い。勧誘された者は小部門に加わり、テロを組織しながら自主的に活動する。このようなISの”発火点”集団は、残念ながら、存在し、その活動を続けている」と、ロシアNOWに話した。

 FSB特殊任務センター反テロ下部組織「アルファ」退役軍人協会のセルゲイ・ゴンチャロフ会長は、モスクワとサンクトペテルブルクで拘束された者が経験豊富なISの戦闘員というよりも、勧誘されたばかりの新人だったと考える。

「皆若い。イスラム狂信プロパガンダに支配されたのではないかと思う」と話す。いずれの場合でも、テロの危険は非常に現実的で、それを防止できたことはロシアの治安当局の見事な活躍だという。

 

ロシアの安全はいかに

 公式統計によると、ロシアの治安当局は近年、国内でテロを防ぐことができている。ロシアの「イズベスチャ」紙が「国家反テロ委員会」の統計を伝えている記事によると、2015年には3件のテロ計画、2016年前半には7件のテロ計画を未然に防止したという。

 ロシアはシリアで活動していることもあり、国内にテロの脅威があると、サプノフ氏。しかし、モスクワまたはサンクトペテルブルクのテロの脅威は、世界の他の大都市と変わらない、と考えている。「現代の世界では、テロの脅威のレベルはどこも同じ。大都市では通常の犯罪者も、テロリストも、他より多い。このために特殊部隊が存在し、テロの発見および防止に努めている」とサプノフ氏。

 活動の成功理由の一つは、FSBと中央アジアの国の治安当局の密な連携だと、ゴンチャロフ会長。今回モスクワとサンクトペテルブルクで拘束できたのは、タジキスタンの治安当局がその共犯者を逮捕し、ロシアに関連情報を伝えたからである。「ロシアと中央アジア諸国に、IS戦闘員に対抗する統一諜報網が存在すると考えられる。これによって共同活動の効率を高められる。今のところ、対処できているし、今後もそうであることを願う」とゴンチャロフ会長。

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