米とのプルトニウム処理協定停止

核燃料の生産、モスクワ州、エレクトロスターリ、2015年3月22日=

核燃料の生産、モスクワ州、エレクトロスターリ、2015年3月22日=

セルゲイ・ファデイチェフ撮影/タス通信
 ウラジーミル・プーチン大統領は3日、アメリカと結んだプルトニウム処理の合意を停止する大統領令に署名した。専門家によれば、これは政治的なパフォーマンスに過ぎないものの、ロシアとアメリカの核問題に関する協力の停止は危険な兆候だという。

 プーチン大統領は3日、アメリカとの現行の共同プルトニウム処理協定を停止する大統領令に署名した。その理由の一つは、「アメリカが非友好的な行動を取り、定められた義務を履行できなかった結果、戦略的安定性に脅威が生じた」こと。今年4月、アメリカが協定の条件を履行していないとして、ロシアはすでに非難していた

 

約束はどこに

 ロシアとアメリカは2000年、核軍縮の一環として、共同で余剰兵器級プルトニウムを処理する協定を結んだ。これによると、両国は34トンの余剰プルトニウムをMOX燃料(混合酸化物燃料)として処分する義務を負っている。このように処理することで、プルトニウムを再び兵器の材料として用いることが不可能になる。

 政治学者で、モスクワ・カーネギー・センター「不拡散問題」プログラムの責任者を務めるアレクセイ・アルバトフ氏によると、協定の履行時に問題が発生したのだという。「ロシアは原子力発電所用にプルトニウムをMOX燃料に処理する工場を建設した。アメリカはそれをやらなかった」

 アメリカ政府の関係筋は4月、タス通信の取材に対し、アメリカは公式にプルトニウム処理協定を支持し続けると話していた。問題は、アメリカがMOX燃料への処理ではなく、他の手段でプルトニウムを処理したがっているところである。これではロシア側に不信感が生まれる。ロシア連邦外務省安全保障・軍縮局のミハイル・ウリヤノフ局長は、アメリカが希望している手段では、プルトニウムを兵器の材料として用いることが可能なままになってしまうと指摘した

 

政治的なパフォーマンスと世界のリスク

 アルバトフ氏によると、プルトニウムの処理に関する対話は実際に行き詰っているため、協定を正式に停止してもあまり変わらず、停止自体はロシアとアメリカの二国間関係の悪化が原因だという。「これはアメリカと無理に協力しなくてもいいというロシアのさらなるパフォーマンス。あなた方が嫌なら、仕方ない、と」とアルバトフ氏。

 同時に、アルバトフ氏によれば、ロシアとアメリカが核分野で協力を縮小させていくと、世界の安全性が低下するという。「兵器級核物質の安全確保におけるロシアとアメリカの協力全体が止まった。ウランも、プルトニウムも。これはとても悪いことで不穏である」とアルバトフ氏。世界でテロの脅威や過激派による核兵器材料の入手のリスクが高まっている今、二つの核大国の間の対話がなくなることで、グローバルな核の安全性がさらに損なわれるという。

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