ポロシェンコ氏に講和を促す欧州

ロイター通信
 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、8月24日、ドイツのアンゲラ・メルケル首相およびフランスのフランソワ・オランド大統領と会談したが、あらゆる点から判断して、ウクライナのリーダーに厳しい“訓戒”が為されたものと思われる。

 ベルリンで行われた三首脳の会談の成果をまとめる記者会見は、極めて控えめで全体として親ウクライナ的なものであった。フランスの大統領とドイツの首相は、ウクライナへの支援について声明し、ロシアおよび親露派を非難した。しかし、アナリストらの考えでは、会談自体は、ポロシェンコ氏にとってさほど心地よいものではなかった。

 問題は、今日ドンバス(ウクライナ東部地域)の状況に対する欧州とウクライナの見方が大きく異なっている点にある。ロシア国立人文大学のアレクサンドル・グシチン准教授は、ロシアNOWにこう語る。「欧州は、幅広い自治(ドンバスの―編集部)およびこの自治を司る何らかの互譲的な人物を甘受する用意がある。欧州の人々は、ロシアがこのプロセスに公然ともしくは非公然と参加することに賛成している」

 しかし、そうした選択肢は、ウクライナを満足させない。グシチン氏は、こう語る。「ポロシェンコ氏は、現在の修正案(ウクライナ憲法への―編集部)は、それでなくとも大きな譲歩であり、それは、同氏が歩み寄ることができヴェルホーヴナ・ラーダ(ウクライナ最高会議)を通過させることのできる最大限のものである、と述べている。ミンスク合意は、同氏から多くのものを要求しているが、ポロシェンコ氏自身は、その合意をロードマップとしてではなく時間稼ぎの手段とみなしている」

 

プーチン氏の目の前で叱責しないために

 ここ何週間か、ウクライナは、ドネツィク(ドネツク)人民共和国の諸都市を砲撃したり戦闘行動の再開へと親露派を挑発したりするなど、極めて危険な政策を実施している。それゆえ、EUのリーダーらは、ロシアを交えない真剣な話し合いへポロシェンコ氏を呼び出すことを余儀なくされたのである。

 ロシア科学アカデミー・状況分析センター・戦略的評価課のセルゲイ・ウトキン課長は、ロシアNOWにこう説明する。「フランスとドイツは、ウクライナ問題におけるロシアの政策に批判的であり、両国には、ロシアの代表が参加する会合において、ロシア側からウクライナに対して打ち出された要求のせめて一部でも受け入れるようウクライナへ圧力をかけることは、難しい。一方、それに十分取って代われるものがないミンスク合意を救済するには、まさにウクライナ指導部の一連の行動が必要である。それは、まず第一に、憲法の修正およびドンバスにおける選挙の手続きの調整に関するものである」

 

ミンスク・フォーマットに代わるものはない点をウクライナに指摘

 フランスとドイツには、ウクライナへ働きかける一定のツールがある。セルゲイ・ウトキン氏は、こう述べる。「EUとの関係は、その状態によってウクライナ指導部の成否がある程度評価される同指導部の優先事項の一つである。ウクライナの改革の成否に関するEUの意見は、多くのウクライナ市民によって権威あるものと受けとめられている。総じて、EUとの諍いはありえない」

 欧州がこれらのツールを利用できたかどうかは、いずれ明らかとなるが、セルゲイ・ウトキン氏は、「交渉プロセスの今後の発展の動きは、まず第一に、コンタクト・グループにおけるものである」と述べている。

 一方、すでに、何らかの結論を導くことができる。たとえば、共同記者会見で、メルケルとオランドの両首脳は、ミンスクおよびノルマンディーに取って代わる交渉のフォーマットは見出せないと声明し、ペトロ・ポロシェンコ氏は、彼らに同意することを余儀なくされた。

 セルゲイ・ウトキン氏は、こう述べる。「ベルリン会談は、たとえ所定の期間における明確な合意遵守がますます到達不可能な理想と化しつつあるとしても、ミンスク合意を放棄しようとする者は誰もいない、ということを裏づけるものとなった。ほかの紛争状況においても起こっているように、交渉プロセスそのものが、たとえ一義的に解釈されうる成果をもたらさないとしても、緊張の緩和を促している」

 もしかすると、近く行われるノルマンディー・フォーマットの協議において、オランド氏とメルケル氏は、ベルリンでの訓戒に対する感謝の印としての譲歩をロシアに求めさえするかもしれない。アレクサンドル・グシチン氏は、「欧州は、ロシアに譲歩を期待している。とりわけ、ドンバスにおける選挙の中止を、できれば、ドネツィク(ドネツク)とルハーンシク(ルガンスク)の両人民共和国の指導部の交代を」と述べている。

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