日本から鉄道でヨーロッパへ

サハリン州ユジノサハリンスク市で18日、国際科学・実践会議「日本-ロシア-EU鉄道直結」が行われる。参加するのはロシアと日本の政府、経済、科学関連機関。サハリン州を経由して、いかに日本に鉄道をつなぐかについて協議する。
サハリン州ユジノサハリンスク市で18日、国際科学・実践会議「日本-ロシア-EU鉄道直結」が行われる=タス通信撮影
サハリン州ユジノサハリンスク市で18日、国際科学・実践会議「日本-ロシア-EU鉄道直結」が行われる=タス通信撮影

100年以上遡る大構想 

 この大規模な構想は、かれこれ100年以上も、進取の気性に富んだ人々を刺激してきた。ユーラシア大陸と日本列島を行き来するには、本土とサハリンの間の7.5キロメートルの間宮海峡をつなげ、クリリオン岬(西能登呂岬)と北海道の間の42キロメートルの宗谷海峡をつなげるだけで十分だ。

 サハリン州とロシア本土をつなげる構想は、19世紀の時点でも夢物語ではなかった。ロシア帝国では、これを極東の有名な研究者である、ゲンナジー・ネヴェリスコイ提督が推進していた。20世紀初めには、間宮海峡でダム、閘門(こうもん)、海港の建設に関する具体的な提案がなされていたが、1917年のロシア革命とその後の内戦で、このプロジェクトは検討されなかった。

 サハリン州との運搬は長い期間、シベリア鉄道の終点である沿海地方の港を通して行われていた。独ソ戦争中に、間宮海峡の沿岸(ワニノ商業港が建設および拡張され始めていた)まで、鉄道が敷設された。

 

スターリン・プロジェクト 

 より現実的な試みがなされたのは1950年代初め。コムソモリスク・ナ・アムーレとサハリン州のポベジノ駅の間の鉄道建設が始まり、本土のラザレフ岬とサハリン州のポギビ岬の間、すなわち間宮海峡に海底トンネルができるはずだった。

 本土ではアムール川右岸に沿ったセリヒノ駅からチョルヌイ・ムィス駅までの120キロメートルに鉄道の路盤が敷設され、ラザレフ岬ではシャフトの掘削が行われ、海峡では人工島の埋め立てが行われた。だがスターリンの死後、 建設は中止された。

 1970年代初めにワニノとホルムスクの間でフェリーが運航されたが、現在は安定的な連絡を確保することができないでいる。

 

なぜ鉄道なのか 

 サハリン州と本土に年中運行可能な鉄道を設置することは、ロシア極東地域だけでなく、国全体の戦略的利益にかなう。太平洋岸は現在、シベリア鉄道およびバイカル・アムール鉄道と直結している、極東の主要な3港すなわちウラジオストク港、ナホトカ港、ワニノ港の可能性に限定されている。アジア太平洋諸国の貨物をヨーロッパに輸送することはできるが、これらの大きな港を刷新しても、輸送能力の不足が根本的に解決できるわけではない。

 輸送の問題を一挙に解決するには、サハリン州でロシアの新たな海門をつくるしかないのだ。サハリン州南部にはホルムスクとコルサコフという不凍港が2港 あり、ここまでは鉄道が敷かれている。しかしながら、本土の重要な輸送鉄道と断絶されていることから、活かしきれていない。

 この問題の解決策となるのが、間宮海峡のトンネルあるいは橋を経由した、セリヒノ駅からサハリンのヌイシュ駅までの、長さ582キロメートルの鉄道の建設である。

 

プーチン大統領の鶴の一声 

 このプロジェクトの実現は、複数の重要な書類で定められている。その中には「2030年までの鉄道輸送発展戦略」、国家プログラム「極東及びバイカル地 域の社会・経済発展」、「ロシア運輸システム発展(2010~2015年)」がある。ロシア連邦運輸省の指示で、科学研究作業「ヨーロッパ-ロシア-日本間シベリア鉄道国際輸送回廊の競争力向上における科学的根拠のある提案の作成」が実施された。

 サハリン州は世界的に重要な石油とガスの備蓄により、ロシアでもっとも投資に魅力的な地域の一つとなっている。そしてプロジェクトは、サハリンの港とヨーロッパの間の貨物輸送に、大きな可能性をもたらす。

 「プロジェクトが実現した場合、鉄道はサハリンと本土をつなげる単なる”線”ではなく、真の”綱”になる。両方向への貨物輸送量が大きく増え、価格を著しく下げる」とサハリン州のアレクサンドル・ホロシャビン知事は考える。

 ウラジーミル・プーチン大統領も同じ考えだ。サハリン州の社会・経済発展に関する会議が、7月16日にユジノサハリンスク市で行われた際、プーチン大統領は連邦政府に対し、本土とサハリンの橋を建設する際の技術条件を今年末までにまとめるよう指示した。

 

日本は成り行きを注視 

 この成り行きを注意深く見守っているのが日本だ。建設が始まれば、宗谷海峡を経由した日本の鉄道との直結プロジェクトは急務となる。実現すれば貨物の輸送量が数倍の年間3320万トンにはねあがると、ロシア運輸省の指示で試算した専門家は話す。

 このシベリア鉄道の延長部分で、日本とヨーロッパの間の年間400~600万個のコンテナ(日本とヨーロッパの間の総コンテナ個数の15~20%)と、日本とロシアの輸出入貨物の大部分が輸送される可能性がある。

 

元記事(露語)

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