ナバリヌイ氏に執行猶予判決

マクシム・ボゴドヴィド撮影/ロシア通信

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キーロフ州裁判所は10月16日、反政権派のアレクセイ・ナバリヌイ氏および実業家のピョートル・オフツェロフ氏の上訴を審理し、キーロフレス事件に対する実刑判決を、執行猶予判決に変えた。これによってナバリヌイ氏は、今後も政治活動を続けることができる。

 裁判所は7月18日のキーロフレス事件判決に対する上訴を審理した。ナバリヌイ氏は弁護士の発言が終わると、判決の政治的陰謀を訴え、オフツェロフ氏も同様の意見を述べた。裁判所は一審判決を有効であるとしながらも、執行猶予付きに軽減した。

 ナバリヌイ氏とオフツェロフ氏は、国営企業「キーロフレス」が保有する1万立法メートル以上の木材を横領した罪で有罪判決を受け、それぞれ一般収容所懲役5年と4年の刑を言い渡されていた。ナバリヌイ氏の支持者数千人は一審判決が下された日の夜、モスクワ市やサンクトペテルブルク市の中心部に集まり、無許可の抗議集会を決行。裁判所は翌日、2人を禁足誓約書にもとづいて保釈していた。ナバリヌイ氏は予定通り、9月8日にモスクワ市長選に参加し、得票率27%で非公式な野党リーダーとなった。

 ナバリヌイ氏は今回の執行猶予判決も不当と考えており、さらに上訴する構えだ。2人はあくまでも無罪を訴えている。

 「サンクトペテルブルクの政治」基金のミハイル・ヴィノグラドフ理事長は、これがすべての関係者にとって妥協的な決定であり、誰も満足させていないと説明する。「これは政治的に譲歩した決定で、誰も満足してない」。ナバリヌイ氏は当面、選挙に出馬できなくなるという。「判決はナバリヌイ氏の公的な政治活動を許可するものであるが、政治家の道は閉ざす」。ナバリヌイ氏の排除は、2012年のデモ以降の反政府的な流れを修正するものだという。

 経済高等学院一般政治学講座主任であるレオニード・ポリャコフ教授は、ロシア憲法裁判所が最近、前科のある人間の公選職を禁ずる規定を撤廃したため、判決が政情を変えることはないと考える。「キーロフ州裁判所の判決は、最近のロシア憲法裁判所の決定と関連付けて見る必要がある。重い罰の前科がある人間が、選挙に出馬できないという規定が撤廃された。したがってナバリヌイ氏には完全な政治的権利がある」。ナバリヌイ氏の政治計画によると、「国民連合」党の大会を行おうとしている。入党し、党を率いてモスクワ市議会の選挙に出馬したい考えだ。「弁護側が上訴したら前科がなくなるかもしれない。ただしナバリヌイ氏には、イヴ・ロシェ・ヴォストーク社の事件の容疑もある。こちらで実刑判決が言い渡される可能性もある。キーロフレスの事件は政情を変えなかった。ナバリヌイ氏は、決して妥協することのない、急進的なロシアの政治家のままだ」。

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