ロシアで記録的な通貨安と株安

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中国発の世界同時株安と原油安

 ロシア・ルーブルは対米ドルで大幅に下落して史上最安値をつけ、ロシア株式市場の株価指数であるRTS指数は1日で6%あまり下落。ロシア市場では24日が「ブラックマンデー」と呼ばれた。専門家によると、ルーブルは初夏から対米ドルで35%安くなっているという。

 ルーブルが主要通貨に対して大幅に下落し、原油価格も低水準となったことから、RTS指数は6%ほど落ち込んだ。ロシアの株安は世界の同時株安パニックに追随。中国の上海株式市場は8.5%安となり、アメリカのダウ工業株30種平均は寄り付き後に1000ドル超下落した。ダウの下げ幅は取引時間中としては史上最大だった。それまでダウの下げ幅が最も大きかったのは2008年9月29日で、777ドル下落している。

 とはいえ、ロシアの株式指数の落ち込みは、世界の多くの国よりも著しかった。「今年の初夏から米ドルは35%高、ユーロは41%高になった」と、ロシアのFX会社「テレトレード」のアナリスト、アレクサンドル・エゴロフ氏は話す。ルーブル安の主な原因は、ロシア経済の原油価格への高い依存度だという。北海ブレントは24日、金融危機の状況にあった2009年以来最も安い、1バレルあたり43.54ドルになった。

 

主な理由

 金融市場ニュース・サイト「BCSエクスプレス」の専門家イワン・コペイキン氏は、ルーブルが週初めから急落したと話す。「中国の株式市場の下落が止まらず、原油価格も下落したことが、この急落の主な理由」。中国が年金基金の資産の30%まで(1兆元≒19兆円)を株式に投資してもよいと日曜日に決定したことも、支えとはならなかった。

 「ロシア市場は新たな急降下ラウンドに入った。株式指数とルーブル・レートは、原油価格の値下がりと中国の株式市場の下げ幅に端を発する不安定性に反応しながら、同時に崩壊した」と、ロシアのFX会社「インスタフォレックス」のアナリスト、イーゴリ・コヴァリョフ氏も話す。

 コヴァリョフ氏によると、原油価格の下落の原因の一つは、イランのビジャン・ザンギャネ石油相の発言だったという。「価格がいくらでも石油を増産する。他の選択肢はない。増産できなければ市場のシェアを失っていくことになる」と、アメリカ系金融情報サービス大手「ブルームバーグ」に語っている。

イランは2012年7月に経済制裁を科されるまで、石油輸出国機構(OPEC)で石油生産量第2位の国だった。イギリスの石油大手「BP」やイギリス・オランダ系石油大手「ロイヤル・ダッチ・シェル」を含む、一部大手企業はすでに、イランでの油田開発に関心を表明した。一方、国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の余剰石油がすでに1日300万バレルに達しているという。

 

今後の予測

 「ロシアの国家予算は1バレルあたり50ドルの原油価格にもとづいて編成されている点が重要。現在の条件において、楽観的に回復を期待することなどできない。したがってロシアの株式市場の下落が続くと考える」とコヴァリョフ氏。

 「原油価格が2008~2009年の最低水準まで下落する可能性は高く、今のところ、価格の反発を予期するような客観的理由はない。少なくとも年内は」とエゴロフ氏。

 アレクセイ・ウリュカエフ経済発展相は24日、1バレルあたり40ドル以下になる可能性もあると話した。カザフスタンのヌルスルタン・ナザルバエフ大統領も先に、今後数年間で1バレルあたり30~40ドル水準になる可能性があると述べていた。

 「市場にパニックが見られるが、危機的現象について話をするような状況にはなっていない。お手頃価格は長期的な投資家が良い銘柄を安く買えるチャンス」と、ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」ロシア株式市場運用管理責任者のゲオルギー・ヴァシチェンコ氏は、より楽観的に話した。

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