ソチ17日目「5つの思い出」

ミハイル・モルダーソフ撮影

ミハイル・モルダーソフ撮影

2014年ソチ冬季五輪オリンピック大会が、無情にも終わりに近づく。特に忘れられない思い出は5つ。

 最後のメダルの授与が控えてる種目もあれば、もう五輪公園の広場で選手にメダルがかけられた種目もある。せっかくの授与式が土砂降りの雨になった選手は気の毒だ。びしょぬれで体の芯まで冷えた観客は、ちょっとおとなしくなってしまうから。

 開催期間中、公式な祝賀会や、非公式なクラスナヤ・ポリャナ唯一のナイトクラブでの祝賀会も、たくさん行われた。「酔っぱらってケンカしそうになって、クラブから追いだされた人を見た!」なんて言う人もいることだし、そろそろお開きかな。

 このボランティア生活で、忘れられない5つのことがある。それを今日はまとめてみたい。

 

恐怖のブリヌィ(ロシア風クレープ)

 ボランティアの多くを恐怖におとしいれたのがこれ。どこでつくられたのかよくわからない冷凍ブリヌィが、5つのボランティア村のうち3つの村で、毎朝でてきた。これはやがて安定のシンボルになった。覚えている限り、2度だけ違う料理がでたけど、この安定の欠如はよからぬ1日の始まりとして、私たちを逆に不安にさせた。

 

カーテン 

 期間中、カーテンのある部屋は豪華さの象徴だった。そしてカーテンがあることは、大好きな選手を見た時と同じぐらい、自慢のネタになった。私の部屋には結局つかなかった。

 

リモコン戦争 

 生命、宇宙、そして万物の究極の疑問。それは見たい競技が行われている時に空いてるテレビがあるかということ。種目の人気が高くないほど、またロシア代表のメダル獲得の可能性が低いほど、リモコン戦争での勝率が低くなる。例えば、アイスホッケーが放送されている時に、ノルディック複合を見ようとしても、勝てる確率は果てしなくゼロに近い。

 

ユニフォーム

 正しくはユニフォームそのものじゃなくて、その保管。時間の経過とともに、それぞれの理由から、別のウェアを着るようになる人が増えていった。やれ手袋だ、やれ帽子だと、順番に物をなくす人、変わりやすい天気の犠牲になった2層の上着を、あまり暖かくないラジエーターの上に置いて乾かそうとして、1日以上が経過してしまっている人(私も)。代表チームとユニフォーム交換をしている人。そういう時は手袋や帽子がほとんどだったけど、中には全部交換できてる人もいた。あとおかしな問題をうったえている人。あるボランティア村には、鍵のかかっていない部屋に夜中に侵入して、入口付近に置いてあるものをもっていくコソ泥が住みついている…のだとか。

 

絶対的な安心感 

 頑丈で高機能な保安システムにかこまれてるとわかると、かなり安心してしまう。関係者以外まわりにいないから。どんな時間に帰宅しても、何も起こらないことを知ってる。バスでスマートフォンをなくしても、1時間後か2時間後にはもどってくる。何もかも安全て、ちょっと奇妙だけどとても快適。

 もうすぐこれが完全な思い出に変わってしまうと思うと、とてもとてもさみしい。朝食の冷凍ブリヌィですらそう。だから私も仲間も、ソチ市とその周辺の特別な雰囲気を、今一度最大限に満喫するつもり。

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