写真提供:リカルド・マルキナ
私が初めて読んだロシア人作家の作品は、ヴァルラーム・シャラーモフの『コルィマ物語』だった。それを読んだ結果、私はソビエト時代の強制収容所の実情をより詳しく知りたいと思うようになった。
私は、当時西欧に操られていると見なしていた(今でもそう思っている)アレクサンドル・ソルジェニーツィンの『収容所群島』を最初に読みたくはなかった。
『コルィマ物語』は、人間が住むのに適さぬ僻遠の地に送られた何千もの人たちにとって、そのことが何を意味したのか、生々しく率直で飾り気なく記していると私は感じた。
非難の応酬や絶え間ない批判や自己憐憫に陥ることなく、身の毛のよだつような体験を淡々と記述するシャラーモフの才能に、私は驚かされた。彼は単に、事実を事実として表現しようとしただけなのだ。その結果、短いながらも、読み始めたら止められない、興味津々の読書体験が味わえる。
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