2015年の文化的できごと6選

 2015年に国際的な反響のあったロシア文化の重要なできごとを、ロシアNOWが総決算する。
  1. トレチャコフ美術館のペレザグルースカ

 ロシア美術の主要な所蔵庫であるモスクワの「トレチャコフ美術館」は2015年2月、新館長を迎えた。ゼリフィラ・トレグロワ氏は、国際的なキュレーターで、ローマ、ロンドン、ニューヨークのロシア美術展で知られ、クレムリン博物館では副館長を務めていた。ロシア連邦文化省は、海外におけるロシア美術の振興強化、美術館の建物および展示のリノベーションを新館長に期待している。

 

  1. モスクワのスターキテクト

 プリツカー賞受賞者3人が2015年、建物2棟、プロジェクト1件でモスクワに輝きを与えた。夏、レム・コールハース氏は現代美術館「ガレージ」の新しい建物(ソ連時代のレストランを改築)をオープンし、秋、ザハ・ハディド氏の設計したビジネス・センター(10年間かけて建てられた)のドアが開かれた。

 もう一つの旧発電所「GES-2」の改築を、レンゾ・ピアノ氏が担当することになった。ピアノ氏を招待したのは、ロシアの大富豪レオニド・ミヘリソン氏。2018年末までにここに博物館をオープンさせる計画。

 

  1. ボリショイの英雄

 ボリショイ劇場が長年、世界にとって、確固たる文学的基礎、物語の展開、特別に作曲された音楽、複雑な装飾、豊富な衣装のある、壮大な多幕のバレエの象徴であったことを、バレエ「現代の英雄」はほうふつとさせた。「英雄」はこの尺度で研かれた。ミハイル・レールモントフの記念の年に公開されたこの作品は、ロシア文学の最高の小説の一つを振り付けで具現化している。

 音楽を作曲したのは、まだ30歳にもなっていないイリヤ・デムツキー氏。脚本に取り組んだのは、ロシア演劇の主要なスター、キリル・セレブレンニコフ氏。振り付けを担当したのはユーリ・ポソホフ氏。ボリショイ劇場の独特な「シンデレラ」だけでなく、サンフランシスコ・バレエ団や他のバレエ団の演出も手がけた人物である。

 

  1. 「ロシア世界」賞

 ノーベル文学賞は28年の空白を経て、ドキュメンタリー小説「戦争は女の顔をしていない」、「死に魅入られた人びと」、「チェルノブイリの祈り」の著者で、ロシア語の作家兼ジャーナリストのスヴェトラーナ・アレクシエヴィチ氏に与えられた。

 アレクシエヴィチ氏は正式にはベラルーシの国民であるが、ソ連時代からロシアで執筆、出版していた。アレクシエヴィチ氏の著書すべてが、ジャーナリスト的な調査および歴史上の悲劇的なできごとの証人への取材にもとづいており、ゆえにこの授賞は、ジャーナリズムと優雅な文学作品の境界というもう一つの重要な問題を、現代文学に投げかけた。

 

  1. アヴァンギャルドの記念

 ロシア・アヴァンギャルドの大規模な展覧会がここ数年、世界をめぐっているが、その100周年を祝う機会がこの夏あった。1915年6月21日、カジミール・マレーヴィチは、全世界でシュプレマティズムとアヴァンギャルドのシンボルになった自身の「黒の正方形」を創作した。バーゼルのバイエラー財団美術館は、初めて「黒の正方形」が一般公開された伝説的な「最後の未来派絵画展『0.10』」を再現した。

 

  1. 新クラシック

 モスクワとサンクトペテルブルクで夏、第15回ピョートル・チャイコフスキー国際コンクールが行われた。コンクールはその60年の歴史を経て、クラシック音楽界で最も権威のあるコンクールの一つとなり、多くの音楽家の名を世界にとどろかせた。

 異なる部門でお気に入りとなったのは、モンゴルのバリトン、アリウンバートル・ガンバートルさん、韓国のテノール、イ・ミョンヒュンさん、フランスのピアニスト、リュカ・デバルグさん、ロシアのピアニスト、ドミトリー・マスレエフさんなどだ。

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