ロシア人がかつぐ縁起あれこれ

欧米諸国でも黒猫は不吉な動物とされる=アントン・デニソフ撮影 / ロシア通信

欧米諸国でも黒猫は不吉な動物とされる=アントン・デニソフ撮影 / ロシア通信

ロシア人は非常に迷信深く、様々なジンクスに敏感だ。これらのほとんどはキリスト教伝来以前に遡り、その後の1000年間にわたるキリスト教時代も、70年間続いた共産主義時代の無神論も人々の迷信深さにさほど影響しなかった。ロシアに住むならば、これらの迷信を知り、どう振舞えば良いか知っておく必要がある。

つばを吐いたり木を触ったり 

 世界の多くの人々がそうであるように、ロシア人は邪視(害をもたらすと信じられている邪悪な眼差し)を信じ、恐れる。例えば、自分の子供について良い事を言われた親のなかには、左肩越しに唾を吐く素振りをし、木に三回触る人がいる。

 他には、近く実現しそうな夢について語る時や、これから行く旅行について話をする時に、同じ動 作をすることがある。ロシア人は、良い事や褒め言葉に邪視が向けられるのを恐れ、魔除けのために木(樹木に限らず、木製のものならなんでも良い)に触れる。木が近くにない場合、同じ事だと言って、多くのロシア人は自分の頭をコンコン叩く。

お金を手渡ししない 

 ロシアではお金に関するジンクスが多い。例えば、タクシーの運転手やレジ係は、お金を手渡しされるのを嫌がり、車のダッシュボードやレジの隣のトレーに置いてくれと言う事がある。これは決して、潔癖性で他人の手を触りたくないということではない。お金は負のエネルギーを含み、様々な人々のエネルギーを伝える事が出来ると信じられている。乗客がタクシーを降りたり、買い物客がレジを離れたりすると、エネルギーを伝える力は失せるとされているので、置いていったお金を手に取る事ができる。

夜、家から物を出さない 

 ロシア人と同居する場合、ゴミを夜に出すのは控えるべきだ。夜に出すと、家に不幸が訪れるとされている。ゴミの匂いが気になる場合、しっかりしたゴミ袋に入れ、きちんと封をすればいい。

テーブルに空のボトル、鍵や小銭を置かない 

 ロシア人は、空のボトル、鍵や小銭をテーブルに置いてはいけないと信じている。縁起が悪く、金運が低下したり、涙を流すような不幸に繋がるとされている。ちなみに、これは家庭での話だけではなく、公共の場でも同じだ。レストランでの食事でも、人は空いたボトルをテーブルの下に置いたり、ウェイターに渡そうとする。

ナイフ、時計やハンカチをプレゼントしてはいけない 

 これらの物は、ロシア人へのプレゼントに適さない。ハンカチは涙を呼ぶと言われており、ナイフは敵を意味し、時計は別れの象徴だ。万が一知らないでこのような物を贈った場合、贈られた人は代わりに小銭をくれる事があるが、驚くなかれ。こうすれば、その贈り物は貰ったと言うより、買ったことになる。高価な贈り物に小額の小銭を渡されて驚いても、小銭は受け取らなければいけない。

家の敷居には悪魔が住む 

 家やアパートの敷居に立ったり、敷居を挟んで人と話したり、物を渡してはいけない。古代スラヴ人は、敷居には悪魔が宿っていると信じていた。宅配便などを受け取る場合は、家から一歩出るか、せめて片足だけでも出さなければいけない。 

外出後、忘れ物を取りに帰った場合は鏡を見るべし 

 ロシア人にとって、外出した後家に戻るのは縁起が悪い。従って、外出後に忘れ物に気づくと、ロシア人はまず、本当に取りに帰る必要があるか考え、もし本当に必要な場合には取りに帰るが、その際、鏡で自分の目を見る事を忘れない。これによって、邪悪な力を欺くことができるとされている。 

独身女性はテーブルの角に座ってはいけない 

 古代ルーシでは、末席とされるテーブルの角に座るのは、嫁に行き遅れた女性、貧しい親戚や養ってもらっている人と決まっていた。そのため、未婚の若い女性が 角の席に座ったら、7年間嫁に行けないという迷信が生まれた。

 最近では自ら好んで角の席に座る若い女性もいるが、お嫁に行けなくなるよ、と言われると「あら、私の将来の夫は角を持つのだわ」(ロシア語で「角を持つ」とは、とても狭い家を持つ事)と答える。しかし、大概のロシア人は若い女性を角に座らせず、自 分も座ろうとしない。 

旅の前には座らなければいけない 

 家族の誰か、もしくは客が長旅に出る場合、出かける前に家にいる人は全員揃って座らなければならない。一見、椅子取りゲームの様に見える。特に荷物が並ぶと、廊下や玄関は狭いが、誰かが「旅の前に座ろう」と言うと、全員がすぐにどこかに座らなければいけない。

 これは、安全な旅のためのまじないだ。全員がどこかに一分間座らなければならないが、実はこれは結構役に立つ。座っている間に落ち着き、忘れ物がないかなど確認するのに丁度良い。

縁起のいい物 

 ロシアの迷信は、悪いジンクスばかりではない。縁起の良い物も数多い。クモが服についていたり、ハトに糞をされたり、犬の糞を踏んでしまったら、気分を害する事はない。これらのことは、金運が非常に上がる事を意味する。

 他にもロシアの迷信は多数ある。いちいち全部覚えていられない、面倒くさいと思うだろう が、実はロシア人も全く同じ事を感じている。ロシア人でも、いちいち迷信を気にする事は辛いと思っているが、それでも、迷信は世代が変わっても受け継がれている。何か縁起の悪い事をしてしまったと気づくだけで気分が落ち込み、しばらく、インスピレーションや成功から遠ざかる事がある。

ロシア人はなぜそれほどまでに迷信深いのか?>>

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