プーチン大統領がマグニツキー法の対抗法案を支持

ロシアのプーチン大統領は、アメリカ人によるロシア人児童との養子縁組を禁止する法案に対し、青信号を発した。現在審議中のこの法案は、人権侵害の疑いがかけられたロシア人を対象に米国で採決されたばかりのマグニツキー法に対する対抗措置として、提案されたものだ。
=タス通信撮影
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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12月20日木曜日、米国国籍のカップルによるロシア人孤児の養子縁組を禁止する内容を盛り込んだものとして論争を引き起こしているこの法案が、前日の水曜日に連邦議会下院(国家会議)の第2読会を通過したことにともない、法案内容を検討の上で、禁止案を決行するかどうか最終的な決定を下すと発表した。昨年養子として出された10,816人のロシア人孤児のうち、アメリカ人と養子縁組したのは956人だ。

 「感情的だが正しい」 

ロシア内外から集まった1,200人ものジャーナリストを前にモスクワで行われた毎年恒例の記者会見の席上で、同大統領は、「私は(禁止を)支持しています」と述べた。

「問題は(禁止の実行にあたって)どのような手段を用いるかです。そのために、法案の内容を検討する必要があります。今日明日中に検討するつもりです」。

ロシア人弁護士セルゲイ・マグニツキー氏の悲劇的な死亡への関与が疑われているロシア人に対し、米国への入国ビザを実質的に発給停止し、米ドル資産を凍結する内容が盛り込まれたマグニツキー法に米国のオバマ大統領が先週調印すると、まもなくこの動議が可決された。

この弁護士は、政府当局者による2億3,000万ドル(約194億円)相当の税金横領を暴露したが、その後拘禁され、2009年に拘留先の施設で死亡した。この事件の調査は、未だに開始されていない。

米国人によるロシア人孤児との養子縁組を禁止する内容を盛り込んだ対抗的法案について、プーチン氏は、「私は、それが下院の感情的な反応であることは理解していますが、同時にそれは正しい反応であると思います」と語った。

「ジャクソン・ヴァニク修正条項撤廃とひきかえに」 

「反ロシアかつ反ソビエト的な法律を廃止したかと思いきや、米国の立法者たちは、すぐさま別の反ロシア的な法案を可決する必要があると決めたのです」と大統領は述べたが、これは、38年前にソビエト連邦内でユダヤ人が不当な扱いを受けたとするワシントンが、対抗措置として採択したジャクソン・ヴァニク修正条項に言及したものだ。同条項は、モスクワとの正常な通商関係の分断を修復させる目的で、12月中旬に撤廃されたが、それと同時に、マグニツキー法が採択された。

 「米国の立法者が、あからさまにロシアに示しをつけようとしていると、我々は受け止めています。マグニツキー事件が発生していなければ、何か他の理由を口実にしていたでしょう。マグニツキー氏の死因は心臓発作であり、誰も拷問など行っていません」とプーチン氏は主張した。

同時に大統領は、モスクワとワシントンは敵ではないことを強調した。「これは、お互いに根気強く接し、妥協を追求すればすむ話です」とプーチン氏は述べた。

「このことが投資傾向や経済に影響を与えるとは思いません。我々はただロシアの国益を追求するのみです」。

G20議長国として経済問題にとりくむ

 4時間半にわたって報道関係者を対象に行われた質疑応答セッションで、プーチン大統領は、論争の火種となったマグニツキー法に対する下院の反応の他、数々の問題にも触れた。

大統領は、G8および12月1日より1年の任期で議長国となったG20において、ロシアは国際パートナーと緊密に連携していく姿勢を明らかにした。

「議長国として本国は、経済成長の保証とさらなる雇用創出という、2つの主要な課題に専念するつもりです」とプーチン大統領は述べた。

 プーチン氏は驚くべきほど多くの統計データを並べて、世界的危機に直面しつつもロシアは好調であることを主張していた。大統領によれば、ロシアのGDPは、今年1月から10月までの期間に3.7%の成長を遂げた。これは年率に換算すると、0.6%の景気減速に相当する。

大統領は、「米国の経済成長が減速し、中国でも下降の傾向にあることを考えれば、これは良い結果だと思います」と説明した。

失業率は昨年の6.6パーセントから5.4パーセントまで下がってきている。実質所得の成長率は、昨年が0.8パーセントにしか満たなかったのに対し、今年は4パーセントまで伸びている。月収は8.8パーセント増加して27,607ルーブル(約7万5,000円)に達した。10月の平均年金支給額は9,810ルーブル(約2万7,000円) だったとプーチン氏は述べた。

「私たちは出生率が過去20年間で最高であることに特に誇りを感じています」とも語った。「死亡率も過去20年間で最低レベルになっています」。

シリア問題について

 国際問題では、プーチン大統領は継続中のシリアの紛争について触れた。シリア紛争におけるモスクワの立場は、大統領によれば、生活、治安と統治に関する問題は当事者自身の間で調整させるべき、というものだ。

 「我々は、アサド政権の運命について懸念はしていません」とプーチン氏は説明した。「現場で何が起きているかは把握しています。一家族が40年間も権力を握ってきたこともわきまえています。いうまでもなく、変革が必要です。しかし、我々は、反政府勢力が権力を掌握した際に、現政権を弾圧するという状況は避けたいのです」。

大統領は、ロシアの対中関係における肯定的な動向についても強調した。「信頼と協調において、ロシアと中国の関係は、これまでにないほど高いレベルに到達しています」とプーチン氏は指摘した。

「ホドルコフスキー氏はいずれ釈放されるだろう」

 最後にプーチン大統領は、拘留中の元石油王ミハイル・ホドルコフスキー氏の将来に関するやっかいな質問にも答えなければならなかった。

「法律に基づいて何もかもが順調に進めば、ミハイル・ボリーソヴィチ・[ホドルコフスキー]氏はいずれ釈放されると確信しています」と大統領は述べた。

モスクワ市裁判所のドミートリ・フォーミン裁判官は、木曜日の法廷で、13年の禁固刑を受刑中のホドルコフスキー氏の判決を11年に減刑するという判決を下した。その結果、ホドルコフスキー氏は2014年10月に釈放される予定である。

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