「ロシアは、日本と韓国がロシアの排他的経済水域の漁獲枠割り当てを一切受けることができなくなるよう、両国とのすべての協定を停止する権利を保留する」と、ロシア連邦漁業庁のアンドレイ・クライニイ長官は、10月17日に行われたモスクワの記者会見の席上で述べた。クライニイ長官によると、日本は依然として密漁されたロシアのカニを、韓国に横流しするチャンネルになっているという。

ちなみに、排他的経済水域とは、自国の経済的な主権がおよぶ水域で、自国の沿岸から200海里(約370kmで、1海里=1,852m)の範囲内。

 

甲殻類の保護のため

ロシアは、生物資源不法取引防止協定を、北朝鮮と韓国と結んでいる。ロシアと日本は9月に、密漁海産物の日本への輸入防止協力について、合意にいたった。

日本との協定では、カニを日本に納入する漁業者は、最初に漁獲枠割り当てを受けてから、連邦漁業庁代表部におもむき、特別な証明書を受領し、その写しが外交郵便で日本に送付されることになっている。日本の港ではすでに、船長がその証明書を提示しないと、カニを水揚げできないようになっている。これは、ロシアとノルウェーの協定を参考にしたものだ。

クライニイ長官は9月末、「6月にこの問題が解決されたと思ったのに、日本の港はまた密漁のカニでいっぱいになっている」と批判した。日本側はこの状況について、アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で署名された協定は、まだ発効されていないと説明した。

密漁は、ロシアと日本の漁業者が、ロシアの排他的経済水域に属する北千島近海で行っている。

おいしいタラバガニ

より価値が高いのはタラバガニだ。このカニは主に、オホーツク海、カムチャッカやサハリンの西岸、間宮海峡、ベーリング海、コディアック島周辺、アラスカ湾に生息している。一般的に、アメリカがベーリング海とアラスカ湾、ロシアと日本がオホーツク海でカニ漁を行っている。

現在、タラバガニの個体数は減少し、枯渇しつつある。タラバガニの漁獲量が最も多いのは、ムルマンスク地域だ。1960年代、タラバガニはバレンツ海に環境順応し、2000年代に漁獲対象物となった。

カムチャッカでは、主に密漁者がタラバガニを捕獲している。その密漁者の”おかげ”で、日本市場の生きたタラバガニとズワイガニの1キロあたりの価格が、最近2分の1から3分の1にまで下がっているのだ。

密漁のノウハウ

密漁の規模は、統計を見れば一目瞭然だ。日本、アメリカ、韓国、中国への2010年上半期のカニ輸出量は、ロシアの捕獲量の2倍にもなっている。極東漁業水域では半年間で1万6500トンのカニが捕獲されたが、同時期の上記4カ国への輸出量は3万6000トンになっている。

連邦漁業庁の計算によると、ロシア水域の海洋生物資源の密漁は、大量に行われており、損害は、2011年で8億ドル分、2010年でその数倍の25億ドルになる。このうち、極東地域の割合は40%以上だ。また、この地域の密漁の60%以上が、高級ガニとなっている。

既存の日露協定をすり抜ける方法は主に4つある。

1つ目は、商品の運搬を運送船で行う(強化された管理の対象は主に漁船)。

2つ目は、第三国(ベリーズ、ホンジュラス、カンボジア)の国旗を掲げた漁船で商品を運ぶ(これらの国に対しては規制がないため)。

3つ目は、韓国入港を事前に申請した漁船で運搬する。韓国ではカニを書類で手続きするだけで済むため、その後は日本に韓国産として届けられる。

4つ目は、国際水域にいる日本の運搬船に、漁獲物を積み替える。

海岸ではなく海で取り締まれ

密漁者は、海岸ではなく、漁場や海で直接的に取り締まる必要があると、北方水域漁業協会・共同体連絡会議のヴャチェスラフ・ジラノフ議長は考える。

「そのためには、漁場の厳しい管理が必要だ。カニ漁場は海域全体ではなくて、限られた場所になっているし、良く知られている。海洋監視でその場所を閉鎖する必要がある」。

さらに同氏は、「港では書類とそこに記載されるカニがあるかを調べるだけだが、もし国家が密漁ガニを受け入れているとしたら、それはすべての国際規則に違反することになる」と付け加えた。

しかし同氏は、日本と韓国に対して、漁獲枠割り当てを拒否することは解決にならないと考えている。

「ヴズグリャド」紙の記事の抄訳