モスクワの超長建築

=エレナ・ポチェトヴァ撮影

=エレナ・ポチェトヴァ撮影

モスクワには超高層住居ビルが少ないが、心理学者によれば高層部で生活するのはあまり好ましくないというし、メンテナンスの面でも大変なのだから、それは悪いことことじゃない。その代わり、この街には横に長くのびた大きな建物がある。モスクワで最も長い建築物を、ヨーロッパ最長の建築をふくめ、5軒ここに紹介する。

1. 「トランスマシュ」工場従業員用実験的住居ビル

=エレナ・ポチェトヴァ撮影

長さ約1100メートル。複数の建物が並んで立ち、住所も異なっているが、すべてがひとつにつながっている。かつてこの建物の道路を挟んだ向い側には高圧実験研究所があり、その騒音が激しかったため、建物の後ろ側に位置するオトラドノエ地区の住宅街に音が響かないように建てられた。現在研究所は閉鎖されて変電所に変わっているため、当初の防音機能は果たしていない。この建物最端の16棟目の壁には、飛び立とうとしている鳥のパネル絵がある。

2. 「グランド・パルク」

=エレナ・ポチェトヴァ撮影

長さ775メートル。モスクワ北西部のホドゥインカ原近くに立つ弓形の建物で、ユーリー・ルシコフ元知事のお気に入りの設計のひとつだった。街の理想的な住宅地と考えられていたが、住人はアパートの状態に不満を示しており、整備を求めてデモを行ったりしている。

3. 電子計算技術研究所

=写真提供:www.nicevt.com/

長さ717メートル。モスクワ南部のワルシャワ通りに位置する、電子計算技術研究所の建物だ。かつてここではソ連のスーパーコンピューターが開発されていて、研究員は建物内部を自転車で移動していた。現在は内部のほとんどが賃貸物件となり、長い廊下も仕切られている。

4. 「ドーム・フレイタ」

=Lori/Legion Media撮影

長さ516メートル。8階建ての住居ビルは、各棟の北側から突き出た階段部分がフルートのキーに似ていることから、フレイタ(フルート)と呼ばれている。建設当時、モスクワ北西部郊外の街、ゼレノグラードでは、唯一の多産家族用のメゾネット8戸を含む特別設計の建物だった。

5. 「チタニク」(タイタニック)

=エレナ・ポチェトヴァ撮影

長さ376メートル。一説によると、この建築の現場監督は、このプロジェクトが始まるまでソ連の原子炉建設を専門としていたため、モスクワ中心部南側に位置するこの「チタニク」、別名「船の家」は、厚さ6ミリの窓ガラス、ドリルを一切使わないコンクリート製の壁など、核戦争に備えられているようなつくりとなったという。また、耐震強度が非常に高く、さらに同一荷重を回避するため、すべての角部は90度ではなく、87度と93度になっている。給水システムはおかしな構造で、住人が誤って他の住人への水の供給を止めるような事態が発生し得る。上層部にはメゾネット式のアパートがある。

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