ロシア、年内にWTOに加盟

ビジネスのインサイダーによると、ロシアのWTOに加盟がロシアにも、世界にも影響を与える=AP Photo撮影

ビジネスのインサイダーによると、ロシアのWTOに加盟がロシアにも、世界にも影響を与える=AP Photo撮影

ロシアとグルジアは、アブハジアおよび南オセチアへの商品移送の三者監視体制に合意し、ロシアのWTO(世界貿易機関)加盟への障壁が取り除かれた。ロシアのWTO加盟は、11月10日から11日の作業部会で承認されることが、ロシア国内でもWTO内でも確実視されている。ロシア交渉団は、まだ多くの技術的問題の解決が必要だとして、18年間におよんだ交渉の終結を急いではいない。

ロシアとグルジアは、アブハジア、南オセチアとロシアとの国境に、第三者の監視が入ることに合意した。さらに、プソウ検問所(アブハジア側)とロカ検問所(南オセチア)をつなぐ「通商路」を経由する商品移送の、電子媒体による情報交換協定案にも合意。2008年のロシア・グルジア戦争勃発後、この問題の解決は、ロシアのWTO加盟にグルジアが同意する条件になっていた。ロシアとグルジアの外交関係が断絶しているため、交渉はスイスを仲介役として行われてきた。

「われわれは1992年以降、アブハジア、南オセチア両地区の境界の国際監視について協議してきたが、ついにその合意にこぎつけることが出来た。困難かつ入念な作業に感謝する」グルジアのサーカシヴィリ大統領は、文書の最終手続きのためジュネーブへ出発する、グルジア代表団のコブリジゼ大統領経済問題補佐官とカパナゼ外務次官の両氏をねぎらい、こう述べた。

「コメルサント」紙の資料によれば、今回の妥結成立により、「貨物輸送通商路」の第三者による監視は、スイスが雇用する民間企業が行うことになる。当初グルジアは、EUオブザーバーによる監視を強く要求していたが、その提案にロシアが拒否。さらに、この文書には「アブハジアと南オセチアの境界地区」の文言はなく、「プソウ」(アブハジア側)と「ロカ」(南オセチア側)という地点名が挙げられているだけだ。また、ロシアは(国境の両側からの)監視を、第三の検問所であるヴェルフニー・ラルス検問所でも行うよう要求した。同検問所はグルジア軍用道路にあり、完全にグルジア側の管轄下にある。そこが紛争地域になったことは一度もない。

「こうした妥協からグルジアが得たものは、本質的に何もない」と、独立系メディアのフハシヴィリ氏は「コメルサント」紙に語った。「グルジア産品のロシア市場への回復はありそうにない。モスクワにはこれらの食品を不許可とする仕組みが多々あり、それらはWTOの規則や基準に違反しないのだ」と同氏は言う。一方で、それほど悲観的ではない意見もある。「これは妥協の産物だが、その結果、勝利するのは大抵、双方だ」と、在ロシア・グルジア元大使(1998~2004年)のアバシゼ氏は「コメルサント」紙に語る。「グルジアは、アブハジアと南オセチアの境界地区における、貨物流通の国際監視を勝ち取り、ロシアはWTO加盟を勝ち取ったのだ」。

「われわれは、グルジアが協定案を支持し、ついにそれが合意に達したことに満足している」と、ロシア代表団長メドヴェトコフ氏は「インタファクス」通信に語り、協定案は「われわれが提案したコンセプトに基づくもので、ロシアの基本的立場の枠を出るものではない」と指摘した。同氏によれば、協定案は「地域の現状に見合ったもので、WTO基準に反することはない」という。

ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟交渉の経緯

ロシアの世界貿易機関(WTO)加盟交渉の経緯

WTOは、ロシアの加盟問題は事実上決着したと考えている。同機関のパスカル・ラミー事務局長は、国境における三者監視体制は、スイスが提案したものだと述べた。双方が提案を受諾したということは、すでに来月初めにもロシアがWTOの一員になりうることを意味している。

ロシアの加盟に関するWTO作業部会の最終会議は、11月10日から11日に行われ、最終決定は12月15日から17日に開催されるWTO閣僚会議で採択される見通しだ。

ロシア代表団は、当面は慎重な姿勢を崩さず、過度に楽観的な声明は差し控えている。メドヴェトコフ団長によれば、もう一ラウンド、つまり11月7日から8日に行われる非公式多国間協議が、ロシアを待ち受けており、この会議ですべての合意文書の「仕上げ」作業が完了する予定だ。

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