パリでテロが発生し、120人以上の犠牲者が出たことを受け、ロシア政府は哀悼の意を表すとともに、非難する声明を発表した。
「ロシアはこれらの非人間的な殺人を断固非難し、テロ犯罪の捜査にあらゆる援助を行う」と、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は述べた。
ウラジーミル・プーチン大統領がフランスのフランソワ・オランド大統領に送った弔電には、「この悲劇は人類の文明に挑戦するテロの野蛮性を改めて証明した」と記されている。
フランス人との連帯を、一般のロシア人も表明している。モスクワにあるフランス大使館の前には深夜から人が訪れ、花を手向け、ロウソクを灯し、メッセージの入ったカードを残していた。朝までには追悼の一角ができた。
現地時間13日夜に発生した同時テロで、120人以上が犠牲になった。報道によると、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が実行したという。オランド大統領は非常事態を宣言した。
ロシアの政治家は声明の中で、フランスに哀悼の意を表すとともに、テロと闘うために団結する必要があるとの考えも示している。
上院(連邦会議)国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長は、いかなる前提条件もなしに、テロとの闘いで最大限に幅広い協力を国際社会に提案することが、「ロシアの政治意思である」と表明した。
コサチョフ委員長は自身の交流サイト(SNS)「フェイスブック」のページで、パリのテロは「私たちのヨーロッパ文明への大打撃」であり、「今は頭も心もパリにある」と記している。
上院国防委員会のフランツ・クリンツェヴィチ副委員長は、シリア情勢をめぐる会議(オーストリア・ウィーン、14日)の場で、「幅広い反テロ連合の創設」案を議論してはどうかと提案した。
ロシア外務省のマリヤ・ザハロワ報道官は、ウィーンの会議について話しながら、パリのできごとが会議の雰囲気とプロセスに影響を与えないわけはないと話した。「私たちが実際に連帯しているということを示す必要がある。連帯は今日の鍵となる言葉である」
チェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長は、イスラム諸国の指導者に対し、反ISでの団結を呼びかけた。「この悪を根絶やしにする必要がある。そうしないとテロリストの大群は、土石流のように、地上のすべての国と街に流れ出てしまう。反『イブリース国』(ISのこと)で努力を結集するよう、改めてアラブ・イスラム諸国に呼びかけたい」と、自身の画像投稿サイト「インスタグラム」に記した。
パリの事件を受けて、ロシアの政治家は、国内の安全強化を呼びかけている。ISは12日、ロシアへのテロを警告するミュージック・ビデオ(MV)をインターネット上に公開しているため、喫緊の課題である。
下院(国家会議)安全保障委員会のボリス・レズニク委員は、テロの脅威があることから、特別措置を講じるべきだと訴えている。「まず、すべての治安当局を動員すべき。我々の誰もが警戒しなければならず、公共の場でのふるまい方を人々に教える必要がある。地下鉄、空港、特に危険な施設で不注意があってはならない」と、ラジオ局「コメルサントFM」の放送で述べた。
ロシアでの追加的安全対策の導入案は、16日に上院で協議される可能性があると、エヴゲニー・セレブレンニコフ上院議員は述べた。
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